深夜食堂(映画)

本日よりブログを始めようと思い立ち、開設を思い立ちました。

そのきっかけ、第1回目。深夜食堂の映画について書き連ねてゆく次第でございます。

 

さて、この作品につきましては、2009年より放送しておりましたドラマ版でご存知の方も多いと思われます。こじんまりとした雰囲気、緩やかに進んでいく常連客や、ふらりと訪れた人々との人間模様。日々あくせくと働く人や、「すこしばかり生き疲れたなぁ」という人に優しく、一息つけるようなホッとする作品でございます。

古い言い方をすれば、『詫び寂び』とでも申すのが適当やもしれません。

各話のタイトルとして書かれている料理とそれにまつわるストーリーということで、

いささか小腹のすく作品でもあります。

筆者といたしましては、まだ観ていないという方にはぜひともお勧めしたい1作ございます。

 

ではいよいよ肝心の映画について書き述べさせていただきます。

2014年に公開されたこの映画、およそ2時間と映画としては平均的でしょうか。

深夜食堂の名の通り、夜半にひらく小さな小料理屋とも居酒屋ともつかぬ店が舞台でございます。

出だしで会話をしている2人が、ストリップショーの踊り子と、歳を召した常連の見物人ということで面食らう方もいるやもしれません。しかしこれもまた、人情味あふれる古き良き時代の名残なのでしょう。

そしてほかの客が訪れ、席に着き、そうこうしてゆくうちに見つかる、何者かが置いて行った骨壺。

これが今回の小さな主役となっていくわけでございます。

3つの短編で構成されていく今作、最初のタイトルは「ナポリタン」。

洋食屋が減ってきた昨今、いささか懐かしい物でもあります。

居酒屋で飲み歩いていると時折見かけるような、美しくお年を召したお妾さん(演:高岡早紀氏)がこの話のヒロインでございます。

この女性が、やや陰気な青年と出会い、わずかながらも見せるほろ苦い恋が話のキモとなるわけです。

この女性が最後に店を出るときの一言が、寂しくも納得させるのです。

これもひとつの恋、後に思い返しては微笑むような苦い思い出になるということを知っている視聴者までも思わず苦笑いしてしまう、そんなビターなお話です。

 

そして次のタイトルである「とろろご飯」。

ネットカフェで飲み放題のジュースを流し込み、飢えた腹を満たしている少女を演ずるのは驚くなかれ、多部未華子女史。

公園で体を拭き、当作の舞台である深夜食堂で食い逃げをし、そんなホームレスとしての暮らしをしている少女が、罪の呵責に耐え切れず、店の主人に謝罪を述べに行くところから物語が動き出す訳でございます。

店の中へ誘われ、半ば強引に研いだ包丁の腕前や、だんだんと見えてくる料理の腕前、店の主人の腕の不調などもあり住み込みで働くこととなった少女と、その過去にまつわる話。ちらりと描かれる小さな恋。まさに物語の中核とするにふさわしいストーリーでした。

 

そして大詰め3本目、「カレーライス」

2014年当時ということもあり、今回の主役となるのは震災にあい、妻を亡くした一人の男。そしてボランティアでその男を助けたひとりの女性でございます。

落ち目の男の勘違いの恋や、その顛末。

その中で出てくるカレーライス。

いささか平凡な料理やもしれませんが、深い思い出を持つ方も多い不思議な料理。

そんな当たり前を思い返させてくれる不思議な物語でした。

 

また、物語の主軸である骨壺の行方はどうなるか、それは見てのお楽しみとしておきましょう。

 

 

最後に当ブログの趣旨のひとつである、合うビールといたしましては、日本の居酒屋が舞台ということでサッポロやエビス、アサヒなどどこでも見かけるビールがなかなか味なものです。

しかしこれではつまらない、という方にお勧めするものとして、黒ビールを選ぶという手もございます。近年、密かなブームがあるのやもしれませんが、前述の大手企業出しているものも見かけられますし、ギネスといった老舗もございます。ギネスに限った話ではありますがスーパースタウトといった刺激の強い物よりもドラフトの淡く包み込むような味が心地よいものと思われます。

また、珍しいところでいえば「ライオンスタウト」というスリランカのものなどいかがでしょうか?黒ビールらしい苦味とコクを感じさせながらも、紹介文で言われているようなモカチョコレートを思わせる芳醇な香りと、下に残らぬほのかな酸味。視聴後に飲んだものということもあり、筆者としてはこれが最も好ましくあります。

手元に筑前煮やきんぴらなど、ちょっとしたものが用意できればよい晩酌ができる事請け合いでございます。

 

そして物語が終わり、映画のスタッフロールが流れると共にビールを傾け、おもむろに取り出した煙草に火をつける。

ふうっと吐き出した煙がゆっくりと揺蕩うさまを眺めるのも、日本人として生まれた特権なのでしょう。1本が空くころには眠気も出てくるので、そのまま布団に包まって眠りこけてしまえばこれば至福なのです。そうして眠った翌日というのは実に晴れ晴れしい。そんな時間を作ってくれる不思議な映画でございました。

 

 

追記といたしましてこの映画、続編が2016年に公開されております。筆者としても鑑賞次第、また筆を執る所存にあります。もしお気に召した場合そちらもいかがでしょうか?

 

 

 

以上、駄文ではございましたが今回はこれまで。

お読みいただき感謝感激、恐悦至極でございます。

今後も細々と更新していく所存でありますので、お気に召されましたらまたいずれ御目通しいただければと存じます。